本と論文のご紹介
古いものから新しいものまで
By Eio Honma

本間の読んだ時点での個人的評価
▲・・普通 ▲▲・・興味のある人ならおもしろい ▲▲▲・・興味のない人でもおもしろいかも
▲▲▲▲・・おすすめ ▲▲▲▲▲・・必読 ▲▲▲▲▲▲・・私は好き
随時更新:下から番号順に新しい。一番下へ
| 916. |
「夢」の認知心理学 |
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岡田斉 |
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勁草書房 2011.02 |
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著者は文教大学人間科学部臨床心理科教授。臨床心理。
夢に関する著者自身の研究と最新の科学的研究成果と精神分析での研究史を合わせて紹介した著作。夢に関する研究の見取り図を得るために非常に便利で、この分野に関心がある人はまず最初に読んでおくべき著作です。いくらか常識的に言われてきたことについて疑いが差し挟まれていることに留意しましょう。レム睡眠神話とでも呼べるものが崩れつつあるのでしょうか。
索引、参考文献有り。
| 915. |
無気力の心理学 やりがいの条件 |
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波多野誼余夫・稲垣佳世子 |
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中公新書 1981.01 |
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学習性無力感の発見をきっかけに、その対極としての効力感をどのように獲得するかまでを論じた無気力とやる気の心理学解説。下の著作群の対極として、やる気のなさの話を求めてセリグマンを読もうと思ったのですが、(信じられないことに)手近になかったのでこちらを読みました。この著作ではLearned
Helplessness(略してLH、嫌な一致だ)を「獲得された無力感」と訳しています。前半でこの概念が説明され、後半はそれを避けるためのキィワードとして「効力感」が論じられていきます。LHの発見者セリグマン自身が20世紀末にポジティヴ心理学を提唱していくことになるわけですが、それをこの著作は先取りしているわけです。そして、この著作で提唱されるようなやりがいに関する話は、きわめて下のチクセントミハイのフロー体験理論に近くなります。この著者たちが1975年の原書か1979年の訳書を知らないはずはないし、内容の近さも明白だと思うのですが、なぜかこの著作ではフローの話は全く言及されていません。
学習性無力感理論の展開については、たまたま手近にあった(セリグマンは無いのに!)光浪睦美『無力感予防における認知的方略の有効性に関する心理学的研究』(風間書房 2011.03)の簡略な記述で知ることが出来ます。
索引無し、言及される研究者たちについての簡単な文献紹介有り。
| 912. |
楽しみの社会学 改題新装版 |
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M.チクセントミハイ(今村浩明 訳) |
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新思索社 2000.12 |
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| 913. |
フロー体験 喜びの現象学 |
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M.チクセントミハイ(今村浩明 訳) |
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世界思想社 1996.08 |
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| 914. |
フロー体験入門 楽しみと創造の心理学 |
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M.チクセントミハイ(大森弘 監訳) |
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世界思想社 2010.05 |
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上から順番に、Mihaly Csikszentmihalyi, Beyond boredom and anxiety: Experiencing flow in work and play (1975)、Flow (1990)、Finding flow: The psychology of engagement with everyday life (1997)の訳。著者はハンガリー人で、生まれた時はまだイタリア領だった地域だったので、イタリアで活躍し、のちアメリカに渡った人物。心理学、特にフロー理論。元綴りとカタカナ書きの印象が若干異なりますが、姓名両方の最後のLは読まない。『楽しみの社会学』は1979年に思索社から出版され、1991年に同じ出版社から『楽しむということ』と改題され出版されたもので、内容は全て同じ(訳者あとがきのみ異なる)。同じ著者によるフロー理論関係の著作はもう1冊(『フロー体験とグッドビジネス』世界思想社 2008)ありますが、ここでは省略。
名高いフロー体験に関する研究のオリジナル。感情心理学の歴史のなかでも重要な意義を持っています。下の著作からのシャレというのではなく、下の著作でワーキングメモリと注意を関連づける場面で注意とフロー体験の関係が語られていたので、これらを読むことになりました。
アメリカ的能力主義へのアンチテーゼとして始まったはずの研究が、みごとにアメリカ的なものに回収されていくという有様を見ることが出来ます。フロー体験自体を研究するよりは、フロー体験なる概念がそれぞれの文化によっていかに〈誤読〉されていくかを追う方がおもしろいかもしれません。私個人としては、この著者が最後の最後で毒を混ぜてきて違和感を抱かせるところが、この著作を超えて行け、と言われているようで逆におもしろかったです。
それぞれ、索引・参考文献有り。
| 911. |
オーバーフローする脳 ワーキングメモリの限界への挑戦 |
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ターケル・クリングバーグ(苧阪直行 訳) |
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新曜社 2011.11 |
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Torkel Klingberg, The overflowing brain: Information overload and the limits of working memory (2009)の訳。これは2007年に出版されたスウェーデン語版の英訳なので、日本語版は二重訳ということになります。著者はスウェーデンのカロリンスカ医学研究所(ノーベル生理学・医学賞を選考する機関でもある)の教授。認知神経科学、特にワーキングメモリ。
読んでおきたい脳科学100冊シリーズ第57冊目。
ワーキングメモリ研究の歴史をたどりつつ、その仕組みと役割、さらにその訓練と未来を楽観的に語る著作。フリン効果とそこから導き出される楽観主義には気をつけるべきですが(ご用心)、途中まではワーキングメモリのわかりやすい説明になっています。ワーキングメモリの機能と意図的注意との重なりから注意およびその障害へと展開するのですが、同時に賦活している頭頂葉の部分についてまるで触れられていないのが読者としては疑問なところです。
研究の過程で著者たちの仮説が敗れ去ることまで書いてあることがおもしろい。カーの『ネット・バカ』と並べて読むとよりおもしろいかも。
索引有り、参考文献は註の中に有り。
| 910. |
あなたはなぜ変われないのか 性格は「モード」で変わる 心理学のかしこい使い方 |
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サトウタツヤ・渡邊芳之 |
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ちくま文庫 2011.11 |
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2005年に紀伊國屋書店から出版された『「モード」性格論』の改題・改訂文庫化。サトウは立命館大学心理学教授、渡邊は帯広畜産大学畜産学部人間科学研究部門教授。
性格についての様々な誤解を解き、現在の心理学的見地から考える新しい性格像を提示する、ということを非常にわかりやすく説明した著作。性格を、個人に不変で本質的なものと考えるのではなく、場面・時間によって変化する柔軟なものと考えるべきだ、ということになります。そのため、性格に関するテスト、さらに血液型性格判断がページを割いて批判されることになります。いくつかのテストに対する批判はこの著作でも言及されている、村上宣寛『心理テストはウソでした』(講談社+α文庫 2008)なども参考にしましょう。
一般向け、特に高校生・大学生向けの本なので気楽に読めるサイズになったことは歓迎です。
参考文献有り、索引無し。
| 909. |
わたしを宇宙に連れてって 無重力生活への挑戦 |
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メアリー・ローチ(池田真紀子 訳) |
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NHK出版 2011.10 |
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Mary Roach, Packing for Mars: The curious science of life in the void (2010)の訳。著者は「アメリカでもっとも愉快なサイエンス・ライター」。他にも訳書があります。
原題に「真空中での生活」とありますが、邦題のように無重力(正確には微少重力)条件下での宇宙飛行士たちの「過酷な」生活について根掘り葉掘り、ときには下世話なほどに調べてまわったという著作。宇宙飛行士の選抜から宇宙酔い・宇宙ハイ、宇宙での食事・入浴・排泄・セックス、宇宙に行った動物、火星へのシミュレイションまで話題は多岐にわたります。宇宙飛行士選抜についてはJAXAが取材されています。その様子は小山宙哉の『宇宙兄弟』を読んでいる人にはお馴染みの話でしょう。
おもしろい。とにかく学び、教わり、体験する著者の姿勢がお話をより深く興味深くしているのだと思います。宇宙開発関係の映像とあわせて読むことが出来ればもっとおもしろいことでしょう。個人的には、このような情報を容易に引き出せる公文書館を持った国こそが文明国だと思っています。
索引・参考文献無し。
| 908. |
アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ |
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ジョー・マーチャント(木村博江 訳) |
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文春文庫 2011.11 |
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Jo Marchant, Decoding the heavens: Solving the mystery of the world's first computer (2008)の訳。以前、邦訳は同じ出版社から2009年にハードカヴァーで出ていたのですが、失念していました。著者は科学ジャーナリスト。
19世紀の最後の年1900年にギリシャのアンティキテラ島近くの海から引き上げられた謎の機械を巡る百余年の解釈と論争の歴史。これがおそらく紀元前1世紀に作られたものであるにもかかわらず、その精密な仕組みのためにどのような機械だったのかがわからずに断続的に論争が続いていました。それが21世紀になって調査技術の発展によって、内部をかなり判明に見通せるようになったために、ようやくその機能が明らかになってきました。
機械装置ですが、技術的な話というよりはこの機械の用途に関する理解を主題に据えているのでなんとか私にもわかります。この「機械」に魅せられた人々のかなり人間くさい話の連続などは特に科学技術史に関心が無くても読めるでしょう。プライスという一科学史家(『リトル・サイエンス ビッグ・サイエンス』(創元社)という科学計量社会学的な著作の翻訳はある)についてここまで詳しく書いてある一般向けの本は他にないと思います。ジャック・クストーやアーサー・C.クラークなどの意外な人々が絡んでくるあたりもおもしろい。
索引・参考文献無し。
| 907. |
どうすれば「人」を創れるか アンドロイドになった私 |
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石黒浩 |
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新潮社 2011.04 |
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アンドロイドを創ることによって「人」を理解しようとする著者の試みの中間報告。著者は、ジェミノイド(人間そっくりの外見と動きを再現する遠隔操作型アンドロイド)から、テレノイド(クリオネにヒトの頭をつけて赤ちゃんより一回り大きめにした「だっこする」もの)・エルフォイド(テレノイドを小型化してケータイ機能をつけたもの)へと創り出すものを進めていくことによって、新しいプローブを投入することで人間について新たな計測を行っていきます。そのなかで、自己・他者・感情といったものに素朴な疑問を抱いていく過程が描かれていて興味深い。
著者が自分のジェミノイドに似せて整形美容する話は印象的。幽霊話などで、死後の自分の姿はどの年齢のものか、という議論を思い出します。
索引・参考文献無し。
| 906. |
阿蘭陀が通る 人間交流の江戸美術史 |
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タイモン・スクリーチ(村山和裕 訳) |
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東京大学出版会 2011.08 |
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著者Timon Screechのつけた原題はThe Dutch in motion: Edo art history of the exchange of persons。
江戸時代の「阿蘭陀」人が現れる美術作品を通じて、文化的交流の歴史を表した著作。「阿蘭陀」と江戸時代の書き方をしているのは、長崎に来ていた東インド会社の社員にはオランダ人だけでなく、ドイツやスウェーデンの人もいたので「オランダ人」だけというわけではなく、それをうすうすわかっていた江戸時代人による呼び方に従ったもの。歴史に関してはこういう書き方をすることに意義があります。内容は蘭学史・洋学史ではおなじみの題材が多いのですが、美術史および人間交流史として扱ったところに新味があり、興味深くなっています。
図らずも下と共通するテーマに。同じ著者は江戸時代のイギリスのイメージを追った『江戸の英吉利熱』(講談社 2006.01)を書いています。そちらもおもしろい。著者も少しだけ触れていますが、これに清との関係を含めて江戸時代美術史を織りなせればよりおもしろいことになるでしょう。
参考文献有り、索引無し。
| 905. |
新しい世界史へ 地球市民のための構想 |
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羽田正 |
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岩波新書 2011.11 |
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著者は東京大学東洋文化研究所所長。世界史。
歴史研究が人々の自己認識を基礎づけるという本来の役割を果たすために、時代に即した、あるいは新しい時代のための新しい世界史を目指そうとする著者のマニフェスト。現在の世界史がどのような経緯でこうなっているのかを歴史的に分析した前半と、これからどのような世界史が望まれるのかについて著者の現在の見解をまとめた後半で構成されます。もちろん、大きな計画は一人の考えで完成するはずもなく、著者はあえて形成途中の目論見を曝すことで議論を引き起こし、細かい点はともかく大まかな方向への賛同を求めようとしています。それは、歴史研究者へはもちろん、さらに重要なのが一般読者に対する呼びかけです。歴史は、私はこうであったということを確認するためではなく、私はこうでもありうるのだという可能性を呼び覚ますものでもあります。
索引、参考文献無し。
| 904. |
統計学けんか物語 カール・ピアソン一代記 |
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安藤洋美 |
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海鳴社 1989.02 |
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イギリスの「統計学者」カール・ピアソンの伝記。表題のようになっているのは、ピアソンがけんかっ早いというだけでなく、どうやら統計学に関わる人たち(この時代、この地域に限られているのだ、と思いたい)の一般的傾向がそうだった、ということ。ディスィプリンの創生期にはそういったことが多いようです。当然ながら、あたらしい学問分野を切り開く人は、その専門家として教育されたわけではないので、複数の知的背景があります。それが興味深い。社会主義者であったり、科学哲学者であったり、数学者であったりすることのそれぞれが統計学へとつながっていくわけですから。
おそらく日本語で読めるカール・ピアソンの伝記としては唯一なのでかなり貴重です。しかし、現在は市販されていません。こういう本は文庫になればいいのに。
人名索引・参考文献有り。
| 903. |
脳の情報を読み解く BMIが開く未来 |
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川人光男 |
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朝日選書 2010.08 |
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著者はATR(国際電気通信基礎技術研究所)の脳情報通信総合研究所所長。BMI研究。
読んでおきたい脳科学100冊シリーズ第56冊目。
Brain-Machine-Interfaceの技術によって新しいパラダイムで人間の脳を研究し応用しようとする試みの紹介。著者たちが行っている研究は、脳電計やfMRIやNIRSなどを組み合わせて生きている脳から直接的に情報を(非侵襲的に)読み出し、外部の装置へと伝達することです。これは従来の研究による脳活動の知識の蓄積、計測技術の進歩、そして計算理論の発展が手を組むことによってはじめて可能になる研究でした。この研究の根底にある著者の思想は〈作ることによってわかる〉という工学的なものです(あるいは、まさしく近代科学的な)。そのため、研究は応用と不可分であり、とりあえずは福祉関係での利用が期待されています。
BMIに関する本は2007年に数冊出たのですが、数年でかなり進歩しています。10-11年に出たBMI関係の本の中でおそらく一番読みやすいのがこれでしょう。武田計測先端値財団編『脳と社会』(発行:ケイ・ディー・ネオブック/発売:化学同人 2010.09)にこの著者が寄せている文章が入り口としてはより良いかもしれません。ニコレリスの『越境する脳』(早川書房 2011)はそういう考え方もあるのだ、と思って読むべき。
索引・参考文献無し。
| 902. |
ヤバい統計学 |
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カイザー・ファング(矢羽野薫 訳) |
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阪急コミュニケーションズ 2011.03 |
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Kaiser Fung, Numbers rule your world: The hidden influence of probability and statistics
on everything you do (2010)の訳。著者はアメリカの「応用科学」としての統計学の専門家。
統計学的思考のすすめ。統計学が教える5つの着目点について、それぞれ2つずつ内容的に対になる具体例(いずれも北米のものなので、若干馴染みのないものもある)を挙げて論じたもの。堅苦しい調子ではなく、くだけた感じで親しみやすいので、こういった著作を初めて読むという方には適しているかもしれません。統計を扱った本なのに、分布グラフも標準偏差の公式も出てきません。
統計の数理ではなく、統計的に考えやり方を論じることを主眼にしています。リスクマネジメントとか科学と社会とかを論じる基本前提としてこの考え方を把握しておく必要があるでしょう。
参考文献有り、索引無し。
| 901. |
「方言コスプレ」の時代 ニセ関西弁から龍馬語まで |
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田中ゆかり |
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岩波書店 2011.09 |
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著者は日大文理学部教授。方言・社会言語学。
社会に現れた「方言」を巡る言説の変遷から、「方言」の位置・性格がこの10年で変化してきたことを示しその原因を考察した著作。題名にある「方言コスプレ」とは、一定の状況でそこにふさわしいイメージを持つ「方言」を使うこと(たとえば、ツッコミの際に大阪弁を使う)。最近TVを見ていないのですが、少し前からそういう状況はあったと記憶しています。この著作ではこのような現代的な「方言」の使用の背景にある方言のイメージ(土佐弁や九州弁は男らしいとか、京言葉は女らしいとか、東北・北関東弁は素朴とか)の在り方を学生への調査、メディア(NHKのドラマ、マンガなど)から浮き彫りにしていきます。一方で、「方言」に対する一般的なイメージがどのように変遷したかを新聞記事などから読み取り、抑圧からステイタスへ変化していく様も明らかにしています。
副題にある坂本龍馬がどのような経緯で「土佐弁キャラ」になっていったのかを跡づける研究はおもしろい。地域によって方言観に差異があり、とくに私が今現在居住している近畿は著者の言う方言主流地域なので、やはり首都圏型の方言使用とはかなり違う印象を受けます。ただ、大学では無意識的にバイリンガルになっているようです(私が共通語話者だからかもしれませんが)。
参考文献・索引有り。
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